読書の後

川端康成

舞姫

「仏界易入 魔界難入(仏界入り易く、魔界入り難し)」 これは、とんちでお馴染み、「一休さん」こと、一休宗純の言葉である。 川端康成は、この言葉に深い感銘を受け、「舞姫」の主題として用いている。このテーマ、特に〈魔界〉という言葉...
川端康成

虹いくたび

建築家の父、水原と母が異なる三人の娘、百子、麻子、若子。顔も性格も全く違う三姉妹。百子の母は、自殺した。水原と唯一結婚した麻子の母が、百子と麻子を育て、その麻子の母も亡くなり、現在は、水原、百子、麻子は東京に3人で生活している。若子は元芸...
川端康成

山の音

『山の音』は、最初から起承転結を持つ長編としての構想がまとめられていたわけではなく、1949年(昭和24年)から1954年(昭和29年)にかけ、複数の雑誌に断続的に各章が連作として書き継がれた。それら全16章を収録した『山の音』が刊行され...
川端康成

千羽鶴

お茶の世界は、日本人の美学を凝縮したような世界というイメージがあり、いつか岡倉天心にも手を伸ばそうと考えていた。 しかし、このお茶の世界を題材にした本作品は、そんな清楚な美からは大きく外れた、俗悪な人間関係の中で物語が展開する。 ...
川端康成

名人

 本作は1938年6月26日から12月4日にかけて打ち継がれた、21世本因坊秀哉名人の引退碁を観戦記者からの視点で描いた記録小説である。名人は引退碁の翌々年1940年1月18日に満66歳で生涯を閉じた。  川端康成は実際の引退碁にお...
川端康成

愛する人達

同時期に、雑誌『婦人公論』に連載された短編は9編が収録されている。表題の通り、「愛」が主題となっており、そのヒロインたちは「純潔な少女」という点で共通している。 「掌の小説」にしても、この「愛する人達」にしても、川端康成の短編はほん...
川端康成

掌の小説

「掌」には、「掌に収まるほど短い」という意味があり、その表題通りの短い物語が百話以上収録された作品集である。膨大な量に思えるが、玉石混淆などではなく、すべての作品に魅力のある宝石箱だ。 日記のようなものから、ファンタジーまで形式は様...
川端康成

雪国

『国境の長いトンネルを抜けると雪国であった。』 本を読んでこなかった私でも知っている有名な書き出しである。このたった一文で引き込まれる。この効果がこの一文を有名にしている所以であろう。九州で生きてきた私にとって、雪国というのは未知の...
川端康成

抒情歌

抒情とは自分の感情を述べ表すことである。この作品は、ある霊感を持つ女が、かつて自分を捨てた男の死を知り綴った、手紙のような形式をとっている。 内容は、自身の過去の記憶や男への感情に加え、西洋東洋の宗教をふまえた、独自の死生観について...
川端康成

伊豆の踊子

ぼくにとって最初の川端康成作品。 伊豆へ一人旅をしていた学生が、旅芸人の家族と出会い、同行をしながら仲を深め、旅先での別れまでを描いた短編小説。 これは、川端氏自身が実際に体験した話である。 〈二十歳の私は自分の性質が孤...
タイトルとURLをコピーしました