日本文学

谷崎潤一郎

陰翳礼讃

「まあどう云う工合になるか、試しに電燈を消してみることだ。」 この締めくくりで有名な谷崎潤一郎の随筆。日本人独自の美意識の源流となっているものが「陰翳」てあるという主張のもと、建築、照明、紙、食器、食べ物、色彩など多岐にわたる考察を...
谷崎潤一郎

歌々板画巻

谷崎潤一郎の和歌を棟方志功が板画に彫った24点のコラボ作品集。 中公文庫の『鍵』、『夢の浮き橋』、『瘋癲老人日記』の印象的な表紙で谷崎潤一郎晩年の作品に花を添えた。 版画といえば、私の好きなお笑い芸人、ロバートのコントを思い出...
谷崎潤一郎

台所太平記

文豪宅に奉公する個性豊かな歴代「お手伝いさん」。彼女たちが繰り広げる珍事に溢れた日常を描いた喜劇小説。 封建的な社会の中で、家事を任されていた奉公人的性格を持つ「女中さん」は、戦後の民主化に伴う女性の就学・就職率の上昇によって、雇用...
谷崎潤一郎

谷崎潤一郎=渡辺千萬子往復書簡

渡辺千萬子さんは、谷崎作品『瘋癲老人日記』の登場人物・颯子のモデルとなった方である。 昭和34年1月20日の書簡より、 〈僕は君のスラックス姿が大好きです、あの姿を見ると何か文学的感興がわきます、そのうちきつとあれのインスピレ...
谷崎潤一郎

瘋癲老人日記

男としての能力を既に失っている老人・卯木督助が、美しく驕慢な嫁・颯子の魅惑に翻弄され、自身の生を犠牲にしながら、性を追求する姿を日記形式で綴った作品。 執筆当時の谷崎潤一郎と主人公の卯木督助が同じ歳の老人であるので、自分をモデルにし...
谷崎潤一郎

夢の浮き橋

ほとゝぎす五位の庵に来啼く今日 渡りをへたる夢のうきはし 源氏物語の最終巻「夢浮橋」、訳了後詠んだ1つの歌から生まれた物語。 若くして死んだ母と新しくやってきた母、父の思惑と母の努力、そして子の願望が混ざり合い、母と母の...
谷崎潤一郎

私が谷崎文学を読み始める前、本屋で手にとってパラパラとめくってみたのがこの作品だった。私が読んだページはカタカナだらけで、とても読みづらいと感じたことを覚えている。まさか他の作品もすべてカタカナじゃないだろうなと不安になったのも、今となっ...
谷崎潤一郎

少将滋幹の母

絶世の美女、北の方を中心に、彼女に恋する男たちの姿を描く。得意とする歴史小説の形に、谷崎文学の1つの系譜である母恋ものをはめ込んだ絵巻物。 標題に『母』とあり、母恋ものの系譜に数えられる本作であるが、母子の話だけではなく、息子を含む...
谷崎潤一郎

月と狂言師

狂言師と月見をした戦後の思い出を綴ったエッセイ。 本を読むようになって感じるのは、今までいかに一面的にものをとらえていたかということだ。 「戦争」というものを知ったのは、歴史の授業や道徳の授業だと思う。しかし、1番衝撃を受けた...
谷崎潤一郎

細雪

上・中・下に分けて刊行された、谷崎文学最長の作品。大阪船場で古い暖簾を誇り、現在は衰退の一途をたどる蒔岡家の4人姉妹、鶴子・幸子・雪子・妙子の日常を描いた物語。船場文化の伝統と阪神間モダニズムの間で滅びゆく上流階級の日常を、流れる四季と細...
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