読書の後

三島由紀夫

豊饒の海

〈世界解釈の小説〉を目指して、1965年(昭和40年)6月からこの小説を書き始めた三島由紀夫は、最終巻の入稿日1970年(昭和45年)11月25日に、陸上自衛隊市ヶ谷駐屯地で割腹自殺した。 三島由紀夫という人物は、この割腹自殺という...
三島由紀夫

憂國

三島由紀夫の短編小説であり、代表作の一つで、二・二六事件の外伝的作品である。〈愛と死の光景、エロスと大義との完全な融合と相乗作用は、私がこの人生に期待する唯一の至福〉と三島は語っており、これはフランスの思想家ジョルジュ・バタイユの『エロテ...
三島由紀夫

花ざかりの森

三島由紀夫の短編小説、「序の巻」「その一」「その二」「その三(上)」「その三(下)」の5章から成っている。 『花ざかりの森』というのは、フランスの詩人シャルル・クロスの「小唄」からとられたもので、「内部的な超自然な〈憧れ〉というもの...
三島由紀夫

サド公爵夫人・わが友ヒットラー

この2つの作品は戯曲、つまり、演劇の上演のために執筆された脚本である。 先に「サド公爵夫人」が執筆され、対をなす作品として「わが友ヒットラー」が執筆された。 これは四六駢儷体を愛する作者のシンメトリー趣味であって、大した深い意...
三島由紀夫

音楽

この小説は、精神分析医である汐見和順の「『音楽』と題する、女性の冷感症の一症例に関する手記」という体裁をとっている。 『音楽』の内容は、不感症に悩む或る女性患者の治療を通して、彼女の深層心理の謎を探っていく過程を記録したものであるが...
三島由紀夫

絹と明察

この物語は対照的な二人の男の出会いから始まる。 一人は駒沢。 紡績会社の社長であり、近代的なアメリカ流の経営が主流となっている業界において、日本古来の家族主義的経営によって、大企業に迫る成長を遂げている。 一人は岡野。 ...
三島由紀夫

美しい星

この題名を見たとき、私の頭に浮かんだのは、星新一のSF小説だ。 読書に乏しい私の人生において、唯一読んだと言える作家、星新一。 鋭い洞察力と豊かな創造力で描かれた、風刺画のような世界観は、毒があるけど読みやすく、落ちは毎回予想...
三島由紀夫

宴のあと

本書は、高級料亭の女将かづが、熟年恋愛により巻き込まれた東京都知事選と、その後の人生の選択を描くことにより、政治の本質をアイロニカルに表現した作品である。 モデルとなった東京都知事候補の有田八郎と三島由紀夫の間で、「プライバシー」と...
三島由紀夫

鏡子の家

朝鮮戦争の特需がおわり、不況となった経済が、再びうわむきに好転しはじめた時代。 人々の生活は均されて、大きな機械の歯車のように、毎日同じ事を繰り返す人生。 そこに生きる意味はあるのか。 鏡子の家に出入りする、4人の青年た...
三島由紀夫

金閣寺

1950年7月2日、国宝・金閣寺は全焼した。犯人は、見習い僧の青年である。 なぜ青年は金閣を燃やしたのだろう。 その疑問に三島由紀夫が出したひとつの答えがこの「金閣寺」という小説である。 事実を題材にした三島氏の作品は、...
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