三島由紀夫

音楽

この小説は、精神分析医である汐見和順の「『音楽』と題する、女性の冷感症の一症例に関する手記」という体裁をとっている。 『音楽』の内容は、不感症に悩む或る女性患者の治療を通して、彼女の深層心理の謎を探っていく過程を記録したものであるが...
三島由紀夫

絹と明察

この物語は対照的な二人の男の出会いから始まる。 一人は駒沢。 紡績会社の社長であり、近代的なアメリカ流の経営が主流となっている業界において、日本古来の家族主義的経営によって、大企業に迫る成長を遂げている。 一人は岡野。 ...
三島由紀夫

美しい星

この題名を見たとき、私の頭に浮かんだのは、星新一のSF小説だ。 読書に乏しい私の人生において、唯一読んだと言える作家、星新一。 鋭い洞察力と豊かな創造力で描かれた、風刺画のような世界観は、毒があるけど読みやすく、落ちは毎回予想...
三島由紀夫

宴のあと

本書は、高級料亭の女将かづが、熟年恋愛により巻き込まれた東京都知事選と、その後の人生の選択を描くことにより、政治の本質をアイロニカルに表現した作品である。 モデルとなった東京都知事候補の有田八郎と三島由紀夫の間で、「プライバシー」と...
三島由紀夫

鏡子の家

朝鮮戦争の特需がおわり、不況となった経済が、再びうわむきに好転しはじめた時代。 人々の生活は均されて、大きな機械の歯車のように、毎日同じ事を繰り返す人生。 そこに生きる意味はあるのか。 鏡子の家に出入りする、4人の青年た...
三島由紀夫

金閣寺

1950年7月2日、国宝・金閣寺は全焼した。犯人は、見習い僧の青年である。 なぜ青年は金閣を燃やしたのだろう。 その疑問に三島由紀夫が出したひとつの答えがこの「金閣寺」という小説である。 事実を題材にした三島氏の作品は、...
三島由紀夫

美徳のよろめき

人妻の姦通を描いた作品で、ベストセラーとなり、映画化もされ、「よろめき」が流行語になるなど、多くの大衆読者を獲得した作品である。 ヒロイン節子が結婚前に接吻をした相手である土屋と再会し、逢引を重ねる内に、肉体的な快楽と精神的な愛情の...
三島由紀夫

沈める滝

主人公の城所昇は、祖父が残した財産と美しい外見、優秀な頭脳を持ち合わせた27歳の青年である。ここまで恵まれた境遇がありながら主人公たりえるのは、やはり何か一種の異常性を持っているからに他ならない。 彼は孤独であった。愛情というものの...
三島由紀夫

潮騒

三島由紀夫の代表作のひとつである。世界中で翻訳がなされベストセラーとなっており、日本ではこれまでに5度映画化されているため、三島由紀夫作品の中でも指折りの人気と知名度を誇る。 架空の島、歌島を舞台に漁師の青年新次と海女の少女初江の純...
三島由紀夫

禁色

 三島由紀夫が20代の総決算として書いた長編小説。当時はまだ社会的禁忌として一般的に馴染みのなかった同性愛を正面から取り上げ、文壇に大きな反響を呼ぶと同時に、三島の作家的地位を堅固なものにした作品である。 女への欲望と女から愛さ...
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