谷崎潤一郎 瘋癲老人日記 男としての能力を既に失っている老人・卯木督助が、美しく驕慢な嫁・颯子の魅惑に翻弄され、自身の生を犠牲にしながら、性を追求する姿を日記形式で綴った作品。 執筆当時の谷崎潤一郎と主人公の卯木督助が同じ歳の老人であるので、自分をモデルにし... 2022.07.31 谷崎潤一郎
谷崎潤一郎 夢の浮き橋 ほとゝぎす五位の庵に来啼く今日 渡りをへたる夢のうきはし 源氏物語の最終巻「夢浮橋」、訳了後詠んだ1つの歌から生まれた物語。 若くして死んだ母と新しくやってきた母、父の思惑と母の努力、そして子の願望が混ざり合い、母と母の... 2022.07.31 谷崎潤一郎
谷崎潤一郎 鍵 私が谷崎文学を読み始める前、本屋で手にとってパラパラとめくってみたのがこの作品だった。私が読んだページはカタカナだらけで、とても読みづらいと感じたことを覚えている。まさか他の作品もすべてカタカナじゃないだろうなと不安になったのも、今となっ... 2022.07.31 谷崎潤一郎
谷崎潤一郎 少将滋幹の母 絶世の美女、北の方を中心に、彼女に恋する男たちの姿を描く。得意とする歴史小説の形に、谷崎文学の1つの系譜である母恋ものをはめ込んだ絵巻物。 標題に『母』とあり、母恋ものの系譜に数えられる本作であるが、母子の話だけではなく、息子を含む... 2022.07.31 谷崎潤一郎
谷崎潤一郎 月と狂言師 狂言師と月見をした戦後の思い出を綴ったエッセイ。 本を読むようになって感じるのは、今までいかに一面的にものをとらえていたかということだ。 「戦争」というものを知ったのは、歴史の授業や道徳の授業だと思う。しかし、1番衝撃を受けた... 2022.07.31 谷崎潤一郎
谷崎潤一郎 細雪 上・中・下に分けて刊行された、谷崎文学最長の作品。大阪船場で古い暖簾を誇り、現在は衰退の一途をたどる蒔岡家の4人姉妹、鶴子・幸子・雪子・妙子の日常を描いた物語。船場文化の伝統と阪神間モダニズムの間で滅びゆく上流階級の日常を、流れる四季と細... 2022.07.31 谷崎潤一郎
谷崎潤一郎 猫と庄造と二人のをんな 『吾輩は猫である』に並ぶ、猫文学の名作。猫のリリーに掻き乱される男女の三角関係とその心模様を描いた作品。 猫を異常に可愛がる男と猫に嫉妬するし追い出そうとする女、そして猫を引き取って男との復縁に利用しようとする女、三者三様の思惑が渦... 2022.07.31 谷崎潤一郎
谷崎潤一郎 春琴抄 「鵙屋春琴伝」という一冊の書物と知人への取材から紡がれる、春琴と佐助の奇縁を描いた物語。谷崎文学最高傑作の呼び声も高い。 改行、句読点、鈎括弧などの記号文字を極力使わない特徴的かつ実験的な文体で書かれている。かな文学の特徴を継承し、... 2022.07.31 谷崎潤一郎
谷崎潤一郎 武州公秘話 この本のページをめくると、序文が漢文であることに驚く。そしてこの小説を読み進めることに尻込みする。結果、漢文は序文だけだったので安心したのだが。えらいもので高校時代に学んだ淡い記憶を頼りに、なんとなくわかる程度には読むことができた。おおよ... 2022.07.31 谷崎潤一郎
谷崎潤一郎 盲目物語・聞書抄 『盲目物語』の舞台は、戦国時代。織田信長の妹であり、浅井長政の妻であったお市の数奇な生涯を、按摩として仕えた盲人の視点で語った歴史小説である。 谷崎文学の一人称形式といえば、まず『痴人の愛』が浮かぶ。さらに、すべて大阪弁で綴られた『... 2022.07.31 谷崎潤一郎